ヤプシ街道『夢を確かめる』のネタバレ感想

同人ゲームサークルヤプシ街道さんの『夢を確かめる』ネタバレ感想です。

ネタバレ注意!

というわけで、ネタバレ込みの『夢を確かめる』の感想と相成りました。
頒布2週間経ったのでそろそろOKでしょ。多分恐らくきっと。
あ、当然ですがプレーした人だけ読んでください。
じゃないと本編の面白さが減ってしまってすっげー勿体ないから。
つーか、プレーした人とメッセか何かで語りたい勢い。
良かったらメールフォームにメッセの捨てアドでも投げてくださいな。

いやあ、まじで良かったよね。これはホントにいい。期待通り。余韻ありまくり。
新サークルで創作活動復帰したと聞いて以来ずっと期待してた作品だったので感無量。
しかもテストプレーという役得でちょっとお先にプレー出来てその完成度知ってたから、
コミケの成果にドキドキしまくりだったわけです。
なもんで、650の無味乾燥さんのレビュー読んで「ひゃっほう! ですよね!」って感じ。

12月のテストプレー感想、書くことにオッケー貰ったので悩みながらどう魅力伝えるか考えたんですが、
書いたうちの「シナリオ重視派で構成力を求めるタイプの人は唸らされること間違いなし」という部分を
うまく伝えられたか心配だったんですよね。というか魅力って構成だけじゃなく、
伏線とかキャラとかギャグとかも大きい部分もあったから、もしや推す所間違ったか――
とスタッフでもないのにすげー悩んだのはやっぱファンだから。
プレーしてないのに今ここ読んでる方はマジでやってみてください。
まず損しないっすよ。作家買いするファンがここにいるようなレベルっすよ。
そういえば、前作『りばスプ』の時は色々あってお代をお渡し出来なかったんですが、
今作でやっと傑作に対価を支払えて満足でした。いや、1000円頒布も全然いけるでしょこれなら。

さてさて、いい加減感想に入りますね。
同人ゲーの傑作の条件には構成の良さがあるのではないか、と考える程の構成LOVEな奴なので、
『夢を確かめる』は嬉しくて仕方がない作品でした。あの3本の料理の仕方は凄いよねほんと。
並行型構成で最後収束してクライマックス、さらにエピローグってのが基本パターンだから
てっきりそれだと思いこんで読んでたのよ。それでも難しいのに、本作はこりゃ凄ェ!って声漏れた。
テストプレー時、実はパッケ裏ちゃんと見たのはプレー後だったんですよね。
個人的にはパッケ裏のあの文面も見ない方がプレーしてての驚きデカイと思う。
というかパッケ裏のアオリも、webの「攻略対象は君だ」というアオリも全く嘘言ってないのが流石。
しかも「攻略対象は君だ」はダブルミーニングだし。伏線ちりばめすぎでホント気を抜けないです。
っと、構成に話を戻します。
印象に残っている作品は構成を凝った作品が多いように感じるのでちょっと列挙。
(※ 強烈に各作品のネタバレになるので画像にしてます。未プレー作品は絶対クリックしないように!)
月姫』 『歌月十夜』 『冬は幻の鏡』 『空の上のおもちゃ』 『夏の音』 『夢剣
ひぐらしのなく頃に』 『MYTH-ミス-』 『鷽替真と月夜の×××』こんな感じ。
※分類はL Seger『Advanced Screenwriting: Raising Your Script to the Academy Award Level』
(邦題:アカデミー賞を獲る脚本術)を基準にしてます。ハリウッドリライティングバイブルの人。

特に『MYTH』とかヤバいです。一生ついてくレベル。型月も半マニも構成のパワーに脱帽。
そして、本作『夢を確かめる』も絶対忘れられない構成の巧さですね。
並行型構成だと見せかけて(というか勝手に期待する心理を応用して)、研究室シーンでこう結合させるのか
と思わせたところで、実はその三本は収束せず、その全体をYTIでラッピングし、さらに現実でくるむ巧さ。
にしても、最初の一見ヘッタクソな地雷ゲーっぽくみえるあのチュートリアルが、
実際ホントにYTIシステムのチュートリアルだっていう事に気づいた頃には鳥肌ものですね。
評価が一周して一気に素晴らしい仕掛けだと見違えて映る爽快感は気持ち良すぎです。
やはり「確かめ」てみると世界が変わるわけですな。テーマに構成が合致してる恐ろしい完成度。

さて、二つ目。女性陣の趣味の悪さっつーか、彼女らの心境分析というか色々。
YTIシステム内で男性を攻略してる3人のねーちゃん達ですが、いやあ皆さん男の趣味悪いねえ。
でも女性蔑視を隠そうともしないくせに超ツンデレにーちゃんには結構傾くの分かるかも。
あからさまに無視されるのは中々燃えるシチュエーションではあるよね。(※ただしイケメ(ry
性的なこと毛嫌いしてるサブカルインテリにーちゃんも趣味合ったら最高かと。
しかもサブカルねーちゃんである今子女史は明らかに謙春よりもオタというのが面白い。
でも、煩悩満載で一途な高校生といっても流石にこのテンションはいかんだろって三男。
これが好きな中二病ねーちゃんな菱妃さんの好みはやっぱりわからんです。
それにしても彼女らの性格がベースとなって文体に出てるのが面白い。そして成長にまで出てて脱帽。
小説家志望の菜乃はやっぱり初めからそれだけの文体を使ってるし、
後半になるにつれテキストからアクが取れてシンプルに洗練されていく。
サブカルねーちゃん今子は村上春樹的ないわゆるやれやれ翻訳文体で思考して、
そして最終盤には更に(悪化?/進化?)を見せてくれる力強さ。
マジでその筋で大成してくれそうなオタパワーを感じて応援したくなるね。
そしてナルコレプシーに憧れるような中二病菱妃さんは思春期らしく一足飛びに成長。
異常なテンションから別人のような文体に変化して病気への憧れも薄れていってますね。
このあたりを考察しても面白いっていうか、しっかり反映させてる士戸さんの手腕が凄すぎる。

ところでこの三本、ジェームス・ボネットのストーリーホイールで見てみるとまた面白い。
若い二人は付き合い始めるところからスタート。つまり絶頂近くからスタートしてますね。
小説家を目指す菜乃は物語の流れをよく知っているのか奈落からスタートしてます。
このあたりは人生経験というか知識の差だよなあとか思ってニヤニヤしてしまった。やっぱ巧い。
あ、何となく分かるかと思いますがヒロインでは菜乃が一番好き。なので最後のご褒美も最高でした。
菜乃かわいいよ菜乃。

そういえば前述の「攻略対象は君だ」の二重の意味について。
プレーしてる視点者ユーザーを形取った男性陣を攻略する3人の女性の話であり、また、
「確かめ」たら世界の見方がまるで変わるから、貴方も普段の生活で思ったことを色々確かめてみて欲しい
という、ライター士戸さんによるプレーヤー諸氏への啓蒙(攻略)というものが見受けられて気持ちがいいね。
ほんとテーマがよく分かって明快。それをこう入り組んだ作品で伝えてくれるコントラストがまた嬉しい。

さて、最後は元ネタ探し。テスター特権でメールの遣り取りがあったので、
その際に訊いてしまったというファンとしてあるまじき反則しでかしてます。マジすいません。
ちえりでcherryなのに何で櫻子じゃないのさ――と思ったら、うっわ、なるほどこれですか。
あー、このバンドのファンなら一発でわかりますよね。つーかCD持ってたよ。
後輩に借りパクされて以来10年聴いてない。ちゃんと聴いてなかったことが浮き彫りになったよと凹み中。
色んなキーになる演出で使われまくりでいざ分かったら鳥肌立ちまくり。
全曲聴くべきだけど、特に「ハッピーアイスクリーム」が強烈に関わりありますね。
それにしても、今回も知識の幅広くて最高でした。ニヤニヤしまくりで相当変な顔してプレーしてたと思う。
『りばスプ』で、「士戸さんは絶対理系だろ」と思っていたのが今作は文系ネタも大量に投入。
うーん、ほんと知識の深さ広さを感じます。

最後、個人的な超名言。
今子「(略)クソつまらんって言いました」
謙春「そんな汚い言葉遣いはしたくないな」
今子「そう言ってあげる方が上品な時だってあるんやで。(以下略)」

全力で頷きましたこれ(笑)

以上、メチャクチャとりとめないけど、ネタバレ有りですっげーと思ったところを書き殴ってみた。
まじで誰か語ろうぜホント。そしてついでに同人ノベゲ話もしよう。オススメ教えて。

プレーしてないのにここまで読んでしまった方も、わかってても楽しめるから是非。

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「不定期雑記」にモドル